金融庁のレポートを読んでみた

　昨日が夏至であることをゲームで知ったまかろんです。老後資金が2000万円足りないと話題の金融庁レポートを読んでみました。ページ数は51ページ。どんなことが書いてあるのやら。原文を読みたい方はこちらをどうぞ。→https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf

　私が大きく気になったところを書いてみます。また、あくまで私が読んで思ったことを書いているので、同じ文章を読んでも人によって感じることは違うと思います。この記事を見て少しでも疑問に思ったことがあったら、上のレポ－トを読むことをおすすめします。

　・高齢者の就労状況について（資料10ページから）

　レポートには、我が国の高齢者は元気である。体力レベルも高いとあり、60歳以上で働いている人で半数以上が70歳以降も働きたいと回答している。とありました。

　　本当か？と首をかしげてしまいました。これは因果関係が逆ではないかと感じました。文章とグラフを読む限り、「働けるので元気だろう」という意味にとれます。確かに働く体力があるので、元気かどうかでいえば、元気といえるでしょう。ただ、諸外国より高齢者の働いている人の割合が多く、今後も働き続けたい人が半数いるという論理展開はミスリードに思えます。

　このレポートでは前のページにおいて、高齢者の支出は年金給付の収入だけでは賄えないため、貯金を取り崩して赤字の5万円を補填しているとあります。では、貯金の減少を抑えるために高齢者が働いていると考えるほうが自然ではないでしょうか。大半の人はもし十分な資産があり、働く必要がなければ働かないと思います。貯金は取り崩し始めると意外と早く減り始めるので、働けるうちは働きたいと回答するのも妥当です。ただし、これも「お金の不安がある」から収入を得たいのであって、仕事そのものをしたいわけではないと思えます。

　働きたい人は働けばいいと思いますが、よぼよぼのおじいさん、おばあさんに働けって酷に思えます。自分が体力のないおばあさんになった時を想像して、年金はあまり出ないので働けって言われたら……。

　死ぬまで働けってことですかね。

　それから、思考レベルが高いともあるのですが、何故かOECD諸国の40代が比較対象です。なぜ同じ日本人同士で比べないのか疑問です。おそらくまだまだ労働力としてみなせると言いたいのでしょうが、わかりやすさに欠けます。私もどのくらい思考力が高いのか、ぴんときてません。

・問題の2000万円の根拠（資料16ページから）

　レポートには、収入と支出の差である不足額約５万円が毎月発生する場合には、20年で約1300万円、30年で2000万円の取り崩しが必要になる。支出については特別な支出（老人ホームの費用、介護費用、住居リフォームの費用）を含んでいないことに留意が必要である。とあります。

　実際は老後資金は2000万円ですら足りないってことでしょう。老人ホームの入居には100万円単位でお金がかかりますし、介護費用もばかになりません。家のリフォーム費用も100万円単位で必要でしょう。私の知り合いで住居リフォームに1000万円くらいかかったと聞きます。つまり、2000万円（日々の生活費）＋2000万円（老人ホームの入居、住居リフォームをそれぞれ1000万円とみなす）→4000万円くらいは必要かなという結論に至りました。ぶっちゃけ頭痛いです。あと、年を取れば病気になる→病院にかかる可能性は高くなり、治療費もかかります。最後どのような病気になるかは誰も予想がつきません。であるならば、病気になった時に対応できるように資産を少しでも多く持っておく必要があるのですが、ため息が出そうです。

　……お金がない貧乏庶民の高齢者は死ねってことですかね。

　他にもこのレポートには突っ込みどころがたくさんあります。資料の根拠が不十分。ツイッターでも触れましたが、文章が稚拙で分かりにくい、つかみどころのない曖昧な表現。ページ数が膨大な割には大したことを書いていない印象を受けました。いちいち指摘するとそれこそ金融庁のレポート並みに長くなってしまうので、繰り返しますが興味がある人は元のレポートを読んでみてください。

　投資については若いうちから少額で積み立て、長い期間投資する（インデックス投資）のがよいと書かれていたのはいいのですが、今更感半端ありません。ネットはここ20年30年の技術ですが、株や債券といった証券関係は200年以上歴史があります。もっと早く注意喚起しておけばいいのにと思わずにはいられません。

　私もそうですが、お金の正しい使い方や税金の仕組みなどのお金の教育って学校で習わないですよね。義務教育にあってもいいと思うのですが、皆さんはどう思いますか？

　それではごきげんよう